PROJECT STORY

プロジェクトストーリー

入社2年目で挑んだ大プロジェクト
紙パックリサイクル量を大幅改善

紙パックリサイクルパルプ設備新設プロジェクト

introduction

今やティシューペーパー、トイレットロールなどの原料の一部に欠かせないものとなっている紙パックリサイクルパルプ。
飲料の紙パックなどには高品質なパルプが使われ、表面にポリフィルムを貼り付ける加工が施されているので、そのポリフィルムを除去することでパルプは再利用されます。
しかし、再利用しやすい紙パックの需要が増える一方で、飲料の保存性を高めるためにパルプから剥がしにくい難溶解の素材が紙パックに使われるようにもなってきました。
そこで既存の設備ではリサイクルできなかった再利用が難しい紙パックをリサイクル可能とするとともに、紙パックリサイクルパルプの安定的確保を図るため、環境に配慮したエコリサイクルな設備を新設するプロジェクトが立ち上がりました。

ここがポイント

  • 入社2年目の二人が中心となってプロジェクトを牽引
  • 周囲との協力体制で課題を解決
  • 紙パックリサイクル量の最高記録を更新

インデックス

メンバー

  • 技術本部
    (2015年入社)
    前島 健吾

  • 技術本部
    (2015年入社)
    武部 航

Story.1

飲料を保護するために進化する紙素材
リサイクルパルプをさらに効率よく得るために

― 今回のプロジェクトの目的はどのようなものだったのでしょうか?

前島:ティシューペーパーやトイレットロールの一部の製品には、原料として飲料の紙パックなどのリサイクルパルプが利用されているものがあります。牛乳パックを例にあげると、高品質なパルプがポリフィルムでコーティングされているので、それをうまく剥がして利用します。ところが飲料の保護技術、紙パックの進化に伴い、既存の設備だとパルプとポリフィルムをうまく分離できないものが出てきました。

武部:紙パックは充填する飲料によって、品質を保つために様々な工夫が施されています。例えば、パルプに添加剤やコーティング加工を加えることによって耐水性を施したり、酸素を通さないフィルムを貼ることで酸化しにくくしたりと・・・。しかし、これらの工夫はパルプの再利用のしやすさとはトレードオフの関係です。これまでの方法だけでは、効率よくパルプを取り出すことができない紙パックも出てきてしまいました。
そこで、そのような再利用が難しい紙パックも効率よく原料化するために新しい設備を作ることになりました。また、以前よりも業界各社がリサイクルに力を入れるようになり、使いやすい紙パックが手に入りづらくなってきているため、原料確保という目的もありました。

― どのような仕組みでリサイクルされるのでしょうか?お二人の役割は?

武部:巨大なミキサーのような設備で紙パックを攪拌し、異物を取り除く工程を数段階経てパルプを取り出します。私は生産技術・操業関係の取りまとめを担当し、その再利用が難しい紙パックのリサイクルはどういう方法だったら実現できるのか、そのために必要な設備はどのようなものか検討していきました。

前島:私はそこから実際に機械設計を行い、設計を元に工事の依頼と現場監督、進捗や安全、予算の管理などプロジェクトの全体を見ていきました。リサイクルは工程ごとに異なった機械で処理を行うため、そのフローの設計や、配管ルート、設備の配置なども考えました。疑問やわからないこともあったので、武部とは頻繁にやりとりをして進めました。そこは同期で話しやすくて良かったですね。

Story.2

周囲に助けられながら進行
入社2年目で任されたプロジェクト

― 入社2年目で託された大きなプロジェクトですが、不安はありましたか?

武部:最初話を聞いたときは不安もありましたが、どちらかというと結構ワクワクしていて、頑張ろうという気持ちが大きかったですね。

前島:2年目で、怖いもの知らずというか。大きなプロジェクトであることは承知していましたが、何でもチャレンジしたいという気持ちでした。実際に動き出してからは大変なこともありましたが、入社後の半年間の研修と、小さい工事ではありましたが、1年目に担当した工事の経験を生かして取り組みました。

―動き出して大変だったというのは?

前島:やはり初めてのことばかりで、プロジェクトの進め方から設備の設計まで、先輩や上司に聞きながら取り組みました。先輩方も気にかけてくれて、頻繁に「今、どんな感じ?困っていることない?」と進行具合を聞いてくれました。元々年齢に関係なくコミュニケーションを取りやすい雰囲気が社内にあったおかげで乗り切れました。大変でしたが、むしろ他の人よりも早くに大きなプロジェクトに携わることができて、今は良かったと思っています。学生時代の友人からは「そんなことを任されているのか」と驚かれますね。

武部:私も同じですね。リサイクル方法を考える上で、わからないことが多く、現場にかなり足を運びました。まずは既存設備の仕組みを知るために、現場の作業担当の方に常にくっついて話を聞いたり、作業を観察したりしていました。また、実験施設でラボテストを繰り返したりしながら一つずつ課題を解決していきました。周りの先輩社員や現場の方は質問するたびに丁寧に答えてくれて本当に助かりました。

Story.3

ラボテストを重ね設置した大規模設備
考えが形になる凄さを実感

― プロジェクトはスムーズに進んだのでしょうか?

武部:プロジェクトが進んでいくと、実際にどういう設備を入れることがベストなのかを考えます。
当社が必要とする設備を作っているメーカーには実物よりも小型のラボ機があるので、そこに紙パックを持ち込んで実際に使用できるのかテストを行い、設備の選定をしました。複数のメーカーの豊富なラインアップの中から設備を選定するので、比較検討は大変でしたが、設備が決まっていき、自分たちの考えたことが徐々に形になっていくことに感動しました。

前島:武部と同じように工事が進むにつれて設備が出来上がっていくことに嬉しさとやりがいを感じましたが、工程が非常にタイトなプロジェクトでしたので、工事工程管理などプロジェクトをスムーズに進めることには苦労しました。
上司・先輩・同期からのサポートもあり、何とかプロジェクトを完了することができましたが、思い返すと配管ルートや設備の配置などが思うように納まらなかったり、ラボ機で問題なかったものでも実際のスケールになると不都合が見つかったりもしました。全てが上手くいったわけではありませんでしたが、失敗も含めて多くの経験を得ることができ、それは今の仕事で生かされています。

Story.4

過去最高の紙パックリサイクル量を達成
環境への配慮だけでなく収益性向上にも貢献

― プロジェクトに取り組みいかがでしたか?

前島:自分たちが作り上げた新しい設備でリサイクルできる紙パックの種類が増え、設置した工場でリサイクル量の最高記録を更新することができました。会社や工場に貢献できたというのは嬉しかったですね。

武部:加えて言うと、今まではリサイクルできなかった紙パックを再利用しているわけですから、ゴミを減らすことで地球環境に貢献することも少しはできたのではないでしょうか。大げさかもしれませんが、そう思うとさらにやりがいを感じましたね。

前島:このプロジェクトを通して機械設計と現場監督をする機会に恵まれ、試行錯誤を繰り返し成長できたと思います。工事業者や現場のオペレーターなど多くの人と接する機会も多かったので、仕事上のコミュニケーションの取り方も学ぶことができました。設計のノウハウもスキルアップしたと思います。

武部:私の仕事では、新しく生産ラインを設計する際に、設備にどれくらいの能力が必要なのかを計算します。また、各設備の運用方法を考えて必要に応じて自動制御を考えます。このような構成設備を決める上で考慮すべきことを今回の経験で理解することができ、今のプロジェクトでも生かすことができていると思います。大きなプロジェクトを通して実務を経験しながら学べたことで、大きく成長できたと思います。

前島:私たちのプロジェクトに限らず、当社では若手でもチャレンジさせてもらえる場面が多々あります。大きなプロジェクトを担当することは大変ですが、スキルアップにも繋がりますし、達成した際には自信もつきます。さまざまな仕事にチャレンジでき、頼れる上司・先輩・同期がいる環境を生かして今後も仕事に取り組んでいきます。

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